角川春樹氏12年ぶり監督作「笑う警官」 - 日本

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By Tom
at 2009-10-21T08:28

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角川春樹氏12年ぶり監督作「笑う警官」…「原作超え」への挑戦

映画は原作を超えるか─。角川春樹監督(67)が大きなテーマを掲げ、12年ぶりに
メガホンを執った話題の映画「笑う警官」が11月14日に公開される。北海道警を舞
台に、15時間のタイムリミットが迫る中、婦警殺害の真犯人を探す警察官を描く。腐
敗する道警内で「追うも警官、追われるも警官」という異色のサスペンスだ。製作・脚
本も手がけた角川監督と主演俳優・大森南朋(37)、螢雪次朗(58)、原作者の佐
々木譲氏(59)が、今作に込めた思いや製作秘話を語り尽くした。

 ◇衰えぬ監督の目

 累計130万部を突破した「道警シリーズ」の第1作の映画化。原作小説と映画の同
時ヒットを狙い、角川監督が打ち出した名コピー「読んでから見るか、見てから読むか
」から約30年。今作ではさらに大きなテーマを掲げた。

 角川「原作どおりに撮ったら原作のほうが面白いと知っている。だからこそ映画は原
作を超えるか、に挑戦しようと。もうひとつは、原作者をどう満足させられるか。さら
に原作者をだまそうと思った」

 佐々木「見事にだまされました。『映画は原作を超えるか』の問いに答えるなら、や
られた。陰謀のレベルが2段階、深い。原作者だから結末は知っていますが、それを超
えた物語になっています」

大森は、婦警殺害犯に仕立てられ射殺命令が下った同僚(宮迫博之)を守るため、署内
の有志ら(松雪泰子、螢)と真犯人を探す刑事役。角川監督とは初仕事になる。

 大森「角川映画で育った世代。中学生くらいかな、『戦国自衛隊』『Wの悲劇』『二
代目はクリスチャン』とかを見ました。角川作品のスクリーンの側に行けたと感慨深い
気持ちです」

 監督の演出は独特だった。撮影では通常、何度もリハーサルを重ねて本番に入るが、
角川監督は1回だけということが度々あった。

 大森「芝居の上り調子の時に本番になっている。その気分を監督は見抜いている」

 角川「当たり前だよ。製作部が夜食を用意してくれる。『おれは(撮るのが)速いか
ら、いらない』と言ったのに。いつも弁当が余ってた」

 大森「監督の洞察力はすごい。僕は手を抜いている訳ではなく、リハーサルでちょっ
と抑えてやっていたら完全に見抜かれ、どなられたことがありました。聞こえないフリ
をしていましたが(笑い)」

 螢「リハーサル1回の監督っていないのでは。決断が速い。役者はいい意味で緊張感
を持てました。リハーサルをたっぷりやると、役者って気持ち良くなっちゃう。芝居が
くさくなるんですよ」


「笑う警官」のワンシーン 角川「オーバーになり、リアリティーを失っていく。一番
危険なんだ。今回は群像ドラマ。役者が8人いるシーンではそれぞれテンションが違う
。その平均値でやらなければいけないんです」

 角川監督としては、97年「時をかける少女」以来のメガホンになる。当初はプロデ
ューサーとしての参加の予定だったが、脚本はアクションシーンも多く、人間ドラマに
なるよう修正を加え、撮影の3週間前に監督をすることを決めた。角川映画で一時代を
築き、ヒットを義務づけられているが、重圧もブランクも「全くない」と自信たっぷり


 先ごろ「150万人動員できなかったら映画をやめる」と映画界から引退する覚悟を
明かしたことが、波紋を呼んでいる。

 角川「(引退は)撮る前から決めていた。監督業だけでなく、映画作り全般です。1
50万人は興収にすると約15億円。でも、何で150万人と言ってしまったのか、明
確な理由は忘れてしまった(苦笑)」

 大森「(引退は)全然知らなかったので、撮影現場ではプレッシャーを感じずにやり
ました」

 角川「一回も言ってない」

 大森「(今後も)頑張って欲しいです。宣伝を一生懸命やらないと? そうですね」

 角川「松雪(泰子)と宮迫(博之)にも言っておけ!」


 ◇恐怖…灰皿伝説

「笑う警官」のワンシーン 大森は父で俳優・舞踏家の麿赤兒(66)の主演映画「サ
ザンウィンズ日本編 トウキョウゲーム」で1993年に俳優デビュー。

 大森「映画館に足を運ぶようになったのも角川映画。役者になる上で影響は少なから
ずあるのでは。同時期にジャッキー・チェンもいたりしますが」

 多くの監督から信頼が厚い大森は、話題の映画、ドラマへの出演が相次いでいる。

 大森「作品選びの基準は、ちょうど期間が空いているタイミングが大きい。ただ、映
画で育っているので映画寄りに選んでしまうことはあるかもしれません。角川監督は怖
いイメージ? 最初はそういう印象。お会いした時、殴られるのかな、と(笑い)」

 角川「あり得ないだろう(笑い)。昔は役者にもこれ(灰皿)が飛んだけど」

 大森「(灰皿の)伝説も聞いていました。現場に入ると、俳優も監督もスタッフも、
ひとつの作品をどう作るかに向かっていくだけ。初日の1シーンを撮ると、空気が分か
る。楽しくやらせてもらいました」

 ◆熟練のスタッフ

 1993年に麻薬取締法違反などで逮捕され、2年5か月の獄中生活を送った角川監
督。その経験もこの映画のなかに生かされているという。

 角川「作られた冤罪事件というのは、証拠を作り上げて、そら、あるじゃないか、と
か、あり得ないことがたくさんある。映画では省いたりしているが、螢のセリフ『この
年になって警察クビになっても、つぶしがきかねえんだよ』は、その時の取調官の言葉
。今も警察憎し? 本当言ってあるけども(笑い)、それとエンターテインメントは違
うんでね。そこは抑えて、情緒に流されないように」

 描きたかったのは警察批判ではなく「組織対個人」だ。

角川「金田一耕助のようなヒーローはいない。個々がどういう決意をして、腐敗した組
織と闘うか。これは警官たちへの応援歌」

 佐々木「現場の警察官たちに対するエールのつもりで書いています。組織とぶつかる
現場の警官って、カッコいいじゃん、本当のヒーローって、こういう人たちだろうと」

 今作のカメラマンは仙元誠三氏、照明は渡辺三雄氏の両ベテラン。角川監督にとって
7作品中、5作品目となるタッグだ。

 角川「オレが何を考えているかを察知して準備してくれる。撮影が終わった時、花束
を渡したら2人が『初めて泣きました』と。みんな、もらい泣きした。それと録音部が
ね、音だけで芝居を見ている。面白かった」

 大森「声は一番、(芝居の)テンションやリズムが表れますから」

 螢「仙元さん、渡辺さんは国宝です。映画にこだわっている役者にはたまらない現場
。仙元さん、自分でカメラ回しながら『違う』と止めましたもんね。一番前で芝居見て
いるから。さすがに驚きましたけど(笑い)」

 主題歌は米歌手ホイットニー・ヒューストン(46)の「夢をとりもどすまで」。小
説、映画、音楽の融合を原点とする角川監督にとって、理想的な三位一体となった。

角川「最近の映画の主題歌は、本編とすごく違和感がある。世界ベストワンのヒュース
トンは今回のポイント。あとは、原作をどれだけ売っておくか。この時代、色んな経営者
と会って話をすると、足りないのはアクションとパッション。映画も同じで、情熱と実際の行
動がないとダメ。普通の監督なら『いい映画ですね』でいいが、自分の場合は当てなきゃ
意味がない。そのためには何でもやる。成功させる機運を、自分で作り上げていくんだ」

 すでに次回作の構想もあるという角川監督だが「まずは150万人突破してから」と
ニヤリ。全力で「笑う警官」をヒットに導く。

 ◆ストーリー 北海道警が組織ぐるみで架空の領収書を偽装し、捜査費や報償費の大
部分を裏金化している疑惑が浮上。道警本部は否定するが真偽を確かめるために、現職
警官が証言台に立つ「百条委員会」が10月23日午前10時に開かれる。その直前に
事件が起きた。

 札幌市内のアパートで“ミス道警”の水村巡査が絞殺され、両手には道警の手錠がか
けられていた。容疑者となった元交際相手の巡査部長・津久井に対して、道警は異例の
射殺命令を出した。かつて津久井と同じ任務にあたった佐伯らは、道警本部を敵に回し
てまでも事件の真相を探っていく。佐伯らに残された時間は、わずか一夜…。

▼製作・監督・脚本 角川春樹
▼原作 佐々木譲「笑う警官」(ハルキ文庫刊)
▼キャスト 大森南朋、松雪泰子、宮迫博之、忍成修吾、螢雪次朗、鹿賀丈史
▼公開 11月14日から全国ロードショー。

 ◆佐々木 譲(ささき・じょう) 1950年3月16日、北海道出身。59歳。7
9年に「鉄騎兵、跳んだ」で文藝春秋・第55回オール読物新人賞受賞。89年に「エ
トロフ発緊急電」で日本推理作家協会賞など受賞。02年には「武揚伝」で第21回新
田次郎賞を受賞。著書に「廃墟に乞う」、「警官の血」など多数。

 ◆角川 春樹(かどかわ・はるき)1942年1月8日、富山県出身。67歳。65
年に角川書店入社、75年に旧角川春樹事務所を設立。映像と出版のメディアミックス
戦略の先駆者として「犬神家の一族」や「野性の証明」などヒットを飛ばす。82年に
「汚れた英雄」で監督業に進出。「椿三十郎」などを製作総指揮。

 ◆大森 南朋(おおもり・なお)1972年2月19日、東京都出身。37歳。96
年に市川準演出のCM出演をきっかけに、本格的に役者として活動。03年の「ヴァイ
ブレータ」などでキネマ旬報日本映画助演男優賞、ヨコハマ映画祭最優秀助演男優賞。
07年に主演を務めたNHKドラマ「ハゲタカ」で放送文化基金賞・出演者賞、エラン
ドール賞新人賞を受賞。

 ◆螢 雪次朗(ほたる・ゆきじろう)1951年8月27日、埼玉県出身。58歳。
90年に「病院へ行こう」で映画デビュー。それ以来、名助演俳優として多数の映画や
テレビドラマに出演。09年には「釣りキチ三平」や「劔岳点の記」に出演。

http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20091020-OHT1T00227.htm

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